〈談話〉
米兵による少女暴行事件と政府による県への情報隠蔽に強く抗議します
2024年7月1日
日本婦人団体連合会
会長 柴田真佐子
12月24日に、沖縄の米軍嘉手納基地所属の空軍兵長が、16歳未満の少女を車で連れ去り、自宅で性的暴行を加えた重大な事件が起きました。基地あるが故におきた少女の尊厳を深く傷つけた米兵犯罪に、満身の怒りを持って強く抗議します。
那覇地検が不同意性交とわいせつ目的誘拐の罪で、3月27日に起訴していたにもかかわらず、日本政府は沖縄県に一切連絡せず、報道で明らかになるまで6カ月も隠蔽していたことは重大です。
この事件がメディアの報道で判明してからわずか3日後、沖縄に駐留する米海兵隊員が5月に県内で女性に性的暴行をしようとしけがを負わせたとして、不同意性交等致傷の罪により6月17日に起訴された別の事件が明らかになりました。
県民の命と安全に責任を持つ知事が凶悪事件の存在を知らなければ、責任を持った対応ができなくなります。また、米兵が暴行を繰り返すのを国が隠蔽しているのでは、県民が安心して暮らすことはできません。米軍新基地建設のための辺野古・大浦湾の「代執行」や、沖縄県議選を前に政治的な意図から事件を隠していたとすれば重大です。
私たちは、政府が米兵犯罪情報を隠蔽してきた経過を明らかにすることを求めるとともに、米国言いなりではなく、米兵犯罪の根絶のために尽力することを強く求めます。
1995年9月の米海兵隊員らに3人による女子小学生への暴行事件、2008年2月の米海兵隊員による女子中学生への暴行事件、2016年4月の元米海兵隊員の軍属による20歳の女性への暴行・殺人事件など、凶悪な事件が後を絶ちません。
許しがたい米軍犯罪の多発する背景には、在日米軍の特権的地位を保障している日米地位協定があることは明らかであり、直ちに抜本的な改定を求めます。
在日米軍による事件は「基地あるが故の犯罪」です。日常的に人殺しの訓練をしている米軍基地と隣り合わせの生活を余儀なくされ、恐怖の中で生活している女性たちの人権と尊厳を守るために、米軍基地の縮小・撤去、地位協定の改定などの根本的対策を強く求めます。
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(談話)
「子ども・子育て支援金制度」の財源を
医療保険制度に上乗せ徴収など国民負担増を止めることを求めます
2024年6月11日
日本婦人団体連合会
会長 柴田 真佐子
子ども・子育て支援法等の一部改正する法律案が6月5日の参議院本会議で可決・成立しました。「児童手当」の拡充、妊婦への10万円支給など改善点もありますが、本来は子どもの貧困をなくすための保育料の全面無償化や教育・学校給食無償化などの支援策が求められます。必要とされる3.6兆円の財源は、既定予算の活用、社会保障費削減など徹底した「歳出改革」、医療保険制度に上乗せ徴収する支援金制度で賄うとしており、財源確保の内容が問題です。
① 「子ども・子育て支援金」を公的医療保険から徴収することは中止すること。
公的医療保険料に上乗せして徴収することは、実質的な増税を隠蔽する施策です。
国民健康保険を利用する自営業者・高齢者・フリーランスなどには重い負担をかけます。
命を守る公的医療保険に上乗せすることは、保険料が払えない状況に追い込まれている低所得者の貧困・格差を拡大することにつながり憲法25条にも違反します。
② 社会保障経費削減などの「歳出改革」はやめること。
消費税が10%になり物価高騰も相まって、暮らしは困難さを増しています。国民全体の所得に占める税と公的保険料の国民負担率は47%と大変重くなっています。
医療・介護の自己負担が2割、3割と拡大され、要介護1・2の生活援助見直しで、利用サービスが受けられない状況です。そのうえ「歳出改革」で、社会保障経費削減では若い世代の将来不安が増すばかりです。
③ 「子ども・子育て特例公債」の発行はやめること。
すでに国債は1000兆円を超えており、若い世代に負担を回す結果になります。
④ 「こども誰でも通園制度」はやめ、現行の一時預かり事業を充実させること。
3歳未満児を対象に保護者の就労に関係なく直接契約で一定の時間内で利用できる仕組みです。通常の保育とは違い子どものストレスや保育士などの配置や処遇待遇が困難になります。また、自治体を介さず公的責任のない保育が増大することが懸念されます。
以上から財源確保は、防衛費の増額ではなく、子ども・子育てのために使い、社会保障の充実が求められています。また、大企業・富裕層への優遇税制をただし、応分の負担を求めるべきです。「少子化対策」ばかりではなく、暮らしを支える政策、非正規雇用や長時間労働をなくすこと、女性差別のないジエンダー平等を実現できる社会をめざす積極的な政策を求めます。
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【談話】
離婚後共同親権制度の導入をはかる「民法等の一部を改正する法律案」の衆議院可決に強く抗議します。
2024年4月17日
日本婦人団体連合会
会長 柴田真佐子
2024年4月16日、衆議院本会議において、離婚後共同親権の民法改定案を自民、公明、立憲民主、維新の会が共同提出した修正を加え賛成多数で可決しました。
離婚後の親権の在り方を77年ぶりに見直すにあたり、その内容が国民に充分に知らされず、国民の議論がないまま、衆議院において拙速に可決したことに強く抗議します。
条文には、子どもの意見表明権が明記されていません。子どもの権利条約に則り、子どもの幸せを最優先にするために、子どもの意思・心情を尊重することが求められます。
「親権」の文言は、「親の子に対する権利」という認識が色濃く残るものです。「離婚後共同親権」が導入されれば、子どもの進学や就職、医療、居所などについて、常に連絡と同意が求められます。「急迫の事情」の場合は単独行使ができるとしていますが、解釈の違いが生じた場合は紛争となります。また、「急迫の事情」について何がそれにあたるのかが明確になっていません。
今回の修正では、附則で、親権の在り方を決める際、父母の力関係の差で不適切な合意とならないよう「真意を確認する措置を検討する」としていますが、これでは不十分です。裁判所によって当事者に不本意な「共同親権」が強制され、一方の親と子どもの利益が害される懸念があります。
父母が合意できない場合には家庭裁判所が判断する仕組みですが、現状は人的にも物的にも体制が極めて不十分です。制度を導入する土台が整っていない中で法案を採決した責任は重大です。
DV加害者による離婚・別居後の虐待のきっかけを作ることが懸念されます。DV被害者にとっては、離婚後も加害者から支配され命さえ脅かされかねません。DVや虐待事案を除外する方策が求められます。「父母の双方の合意がない場合には共同親権を認めない」を明記すべきです。
多くの論点や懸念を残したまま拙速に「離婚後共同親権制度」の導入を図る民法改定案を認めることはできません。
参議院では、子どもの最善の利益が守られ、当事者の深刻な懸念に応える徹底した審議を尽くすことを求めます。
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【要望】
2024年2月5日
内閣府男女共同参画担当大臣 加藤鮎子様
内閣府男女共同参画局局長 岡田恵子様
日本婦人団体連合会
会長 柴田真佐子
能登半島地震 避難所の環境改善、生活支援などについて
ジェンダー視点での運営の徹底を要望します。
日本婦人団体連合会は、1953年の発足以来70年間、平和とジェンダー平等をめざして活動してまいりました。平和で幸福な暮らしと社会を実現するためには、ジェンダー平等の実現がなくてはならないものと確信します。そのためにはすべての社会的事象をジェンダー視点でとらえ直し、常に改善していく必要があります。
2024年1月1日に発生した能登半島地震は、甚大な被害をもたらしました。
1か月近く経過した今も、温かい食事や段ボールベッドなどが行き渡らない、断水でトイレが衛生的に保てない、避難所が狭くインフルエンザやコロナが蔓延しやすいなど、健康を維持できないような環境に身を置かれているという状況に心が痛みます。
特に、女性は「間仕切りがなく着替えができない」「男女共用のトイレで、夜は照明が少なく怖くて使えず我慢して体調を崩す」など、より過酷な状況です。
内閣府男女共同参画局総務課は「今般の石川県能登地方の地震による災害対応における男女共同参画の取り組みについて(依頼)」を発し、「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」と、それに基づいた「避難所チェックシート」を活用しての取り組みの依頼、現地への職員の派遣、各都道府県の関係機関に促進依頼文書の発信対応等、適正な対応をされていますが、まだ現地の避難所の環境は不十分です。女性の災害対策の担当役員が少ない中で、声を上げにくい女性の率直な要望を聞き取り、国が主導して現場で改善を進めるべく、私たちは以下の点を要望します。
記
1、ガイドラインの遵守のための取り組みの強化による環境改善
・プライバシーを保護できるスペースの確保
間仕切り・パーテーション・更衣室・授乳室・男女別トイレ・女子トイレの増設(生理用品や紙おむつなどの常設)
・性暴力や性犯罪を防ぐ取り組み
巡回警備の実施・照明の増設・相談窓口の設置と周知
・管理責任者は男女の配置、運営組織の役員に女性の増員(3割以上できれば5割)
多様な立場の人々の参加を促し人権が尊重される民主的な組織運営の実践
2、「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」に基づいた復興の取り組みを進めるうえで、あらゆる支援にジエンダー視点が求められます。女性が支援に取り残されないように世帯主基準の慣習に基づいた援助の形にならないようにすること。
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(声明)
イスラエル・パレスチナの軍事衝突に関する声明
人命最優先に、軍事支援でなく即時停戦、和平交渉を!
2023 年 10 月17 日
日本婦人団体連合会
会長 柴田真佐子
10 月 7 日以来継続しているハマスとイスラエルの軍事衝突により、両地域で女性、高齢者、子どもなど民間人を中心とする死傷者や避難民が日々増大し、医療も受けられないなど、筆舌に尽くしがたい破壊が引き起こされています。イスラエルはガザ地区への水、電力、燃料、食料の供給を停止し、ガザを完全に封鎖して空爆を続けています。市民への無差別攻撃、民間人連行は、いかなる理由があっても許されない国際人道法違反の行為です。これ以上犠牲者を増やさないために、ただちに武力行使を中止し、人道支援を供給すべきです。
バイデン米大統領はイスラエルへの全面支援を表明し、軍事産業の利益をもたらす「空前の」支援を言明しました。関係国と国際社会は、戦争を拡大する軍事支援ではなく、双方に武力行使を停止させるための努力をすべきで
す。
今回の事態の根本原因は、国際社会が長年にわたってパレスチナ問題を放置してきたことです。イスラエルは国連諸決議に反してパレスチナを占領し、国際法違反の入植地拡大、住民の強制排除を行い、ガザ地区には封鎖、空爆、侵攻をくり返してきました。ガザ地区は日常的な抑圧や暴力にさらされながら、生活手段をイスラエルに頼らざるを得ず、人々は、仕事を得たり医者に行くためにも自国内の「検問所」で長時間行列するなどの人権侵害に耐えて暮らしてきました。
パレスチナ問題の解決には、イスラエルの占領地からの撤退、パレスチナ独立国家の樹立を含む民族自決権の実現、両者の生存権の相互承認が必要であり、これは度重なる国連決議などで承認されてきた国際社会の合意です。
婦団連の加盟する国際民主婦人連盟(WIDF)加盟団体を含め、「イスラエルはガザ侵攻をやめよ」「即時停戦を」「パレスチナ問題の解決を」と呼びかける国内外の声が急速に広がっています。婦団連はこうした声に連帯し、これ以上犠牲を増やさないために即時停戦を求めると共に、国際社会と日本政府が、パレスチナ問題の解決のために直ちに外交努力を開始することを強く訴えます。
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〈緊急要望書〉
G7議長国としてのサミット開催にあたり、女性差別撤廃条約選択議定書の批准、選択的夫婦別姓制度の導入、同性婚の法制化を求めます
2023年2月8日
内閣総理大臣 岸田文雄 様
女性活躍担当大臣・内閣府特命担当大臣(男女共同参画) 小倉將信 様
外務大臣 林芳正 様
法務大臣 古川禎久 様
日本婦人団体連合会(婦団連)
会長 柴田 真佐子
【緊急要望書】
G7議長国としてのサミット開催にあたり、女性差別撤廃条約選択議定書の批准、選択的夫婦別姓制度の導入、同性婚の法制化を求めます
日頃より男女共同参画社会の実現をめざして尽力されていることに敬意を表します。
日本婦人団体連合会は、女性団体、労働組合・市民団体の女性部などで構成し、23団体が加盟しています。1953年の創立以来一貫して、ジェンダー平等、人間らしい暮らしと労働、平和を求めて活動しています。
日本は今年G7(主要7カ国)議長国を務め、5月の広島サミットに続き6月にはG7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合の開催も予定されています。
昨年10月にベルリンで開催されたG7男女共同参画担当大臣会合の共同声明は「包括的かつジェンダー平等な民主主義社会を目指すとともに・・世界中の女性、女児、LGBTIQ+の人々の権利行使に対するバックラッシュに共に対抗します」と述べています。
岸田総理大臣は「G7においてもジェンダー主流化の視点を取り入れ、更に発展させていく」(12月15日男女共同参画会議)、また、小倉特命担当大臣は「ジェンダー平等に向けたこれまでの取組を引き継ぎ、より一層の充実につながるよう、関係府省で連携して取り組んでいく」(次回G7議長国として10月ベルリン会合での発言))と表明しています。
ところが2月4日、首相秘書官が性的少数者や同性婚についての差別発言によって更迭されるという事態がおきました。更迭の理由は「政権の方針と全く相いれない」からとされますが、岸田総理大臣は同性婚の法制化の「慎重な検討」の理由として「すべての国民にとっても家族観、価値観、社会が変わってしまう課題だ」等と国会答弁しており、総理自身の人権意識の欠如は明らかです。「多様性、包摂的な社会の実現」が政権の方針であるならば同性婚の法制化に直ちに着手すべきであり、まさにG7議長国としての資格が問われています。
ジェンダー平等の現状を見れば、日本の到達は「ジェンダー・ギャップ指数2022」(同年7月、世界経済フォーラム発表)で146カ国中116位、G7では最下位と世界最低のレベルです。
遅れた日本の現状を打開し女性の権利を国際基準に引き上げるための課題は多々ありますが、議長国としてのG7サミット開催にあたっては、ジェンダー主流化の視点からの喫緊の課題として、同性婚の法制化の他に次の2課題の実施の具体化が強く求められます。
一つは、女性差別撤廃条約選択議定書の批准です。
同選択議定書は女性差別撤廃条約の実効性を高める条約としてすでに世界115カ国が批准しています。日本はG7議長国としてその批准を促進すべき立場にありながら、いまだに批准しておらず、国連女性差別撤廃委員会における日本の条約実施報告の審議では繰り返し批准の検討が求められています。早期批准を求める意見書は188の地方議会で採択されています(2022年12月現在)。
もう一つは、選択的夫婦別姓制度の導入です。夫婦同姓の強制は、両性の平等と基本的人権を掲げた憲法に反し、これを法律で強制しているのは今や日本だけです。婚姻の際、95%が夫の姓になっているのは間接的な女性差別です。通称使用の拡大では根本的解決になりません。選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書は359の地方議会で採択されています(2022年12月現在)。
日本が議長国を務めるG7開催にあたり、女性の人権状況を国際基準に引き上げ、日本のジェンダー平等を推進するため、下記事項の実施の意思を表明し、実施に向けた政策の具体化を進めることを強く要望します。
記
1 女性差別撤廃条約選択議定書の批准をすること。
1 選択的夫婦別姓制度を導入すること。
1 同性婚を法制化すること。
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〈特別決議〉
敵基地攻撃能力の保有・大軍拡の安保関連3文書の閣議決定に抗議し、撤回を求めます
婦団連は、岸田自公政権による「国家安全保障戦略」など安保関連3文書の閣議決定に抗議し、撤回を求めます。国民の反対の声を無視し、憲法に関わる重要な決定を国会審議も経ず閣議決定で行うという暴挙は断じて許せません。
「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有は、戦後の歴代内閣が「日本の防衛の限界については専守防衛を主とする」としてきた「専守防衛」を覆す重大な憲法違反であり断じて容認できません。安全保障関連法制の「存立危機事態」により、日本が攻撃されていない段階で、同盟国の米国が第3国と戦争を始め「存立危機事態」と認定すれば、日本が参戦することになることも想定されます。そのような事態になれば、日本への報復攻撃は避けられません。
2023年度から5年間の防衛費総額を約43兆円とし、27年度に国内総生産(GDP)比で2%、11兆円にするための財政措置を年内に行うとしています。その財源を大増税、社会保障削減など国民の負担で賄おうとすることは、憲法の理念に反します。
婦団連は「平和を願う女性の力を一つに」と朝鮮戦争のさなかの1953年4月5日に結成され来年は創立70周年を迎えます。創立以来、平和・ジェンダー平等を求めて活動してきました。平和であってこそ女性の人権は守られます。軍事対軍事では平和は実現しません。憲法9条に基づく平和外交が今こそ求められています。
婦団連は、憲法・女性差別撤廃条約にもとづく平和・ジェンダー平等の実現を求め、「戦争する国」づくり・大軍拡ストップ!いのち・くらし最優先の政治を求めて、女性の共同を大きく広げていきます。
2022年12月17日
日本婦人団体連合会第49回総会
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〈談話〉
女性の再婚禁止期間の廃止など「民法等の一部改正法」の可決・成立をうけて
2022年12月12日
日本婦人団体連合会
会長 柴田真佐子
12月10日参議院本会議で「民法等の一部を改正する法律案」が可決・成立しました。
女性の離婚後300日以内でも、他の男性との再婚後に生まれた子は“例外的”に現夫の子とみなされることとなりました。女性の離婚後100日間の再婚禁止期間は、再婚後に生まれた子どもの父親の推定が二重にならないための規定であり、今回の改正によって廃止されることとなりました。
女性のみに課せられる再婚禁止期間は、民法における女性差別規定の一つであり、婦団連は長年にわたってその廃止を求める国会請願や政府への要望を行ってきました。国連女性差別撤廃委員会も日本政府への勧告を繰り返してきました。懲戒権の削除、体罰禁止の明確化も含め、今回の民法改正は一歩前進です。
しかし、女性が法律上の再婚をしない、あるいは、DVで前夫との離婚が成立せず再婚できないなどの場合には、離婚後300日以内に生まれた子が前夫の子と「嫡出推定」される規定はそのままであり、それを避けるために出生届を提出しない「無戸籍児」の問題は残っています。そもそも正統な子という意味の「嫡出子」は差別用語であり、廃止すべきです。出生届に「嫡出子」「嫡出でない子」の記載を義務づけている戸籍法を改正し、すべての差別規定をなくすべきです。
婦団連は、選択的夫婦別姓制度の実現をはじめとする民法・戸籍法の差別的規定の廃止・法改正を求める運動を、さらに広げ強めていきます。
声明 ⇒ ダウンロード PDF
〈抗議〉
内閣総理大臣 岸田文雄 様
2022 年 9 月 5 日
女性差別撤廃条約実現アクション 共同代表 浅倉むつ子
柚木 康子
opcedawjapan@gmail.com
090-7254-4503(亀永)
杉田水脈議員の総務政務官任命に抗議し、撤回を求めます
私たち女性差別撤廃条約実現アクションは、女性差別撤廃条約の選択議定書の批准を目 的に、日本の女性の権利を国際基準にする活動をしている NGO
のネットワークです。65 団体が加盟しています(末尾参照)。
私たちは、第二次岸田政権の発足に際し、岸田内閣総理大臣が、杉田水脈衆議院議員を 総務政務官という政府の要職に任命したことに強く抗議し、直ちに任命を撤回するよう求
めます。
杉田議員は、「女性はいくらでもウソをつけますから」(2020 年 9 月 25 日、自民党内閣
第 1 部会・第 2 部会合同会議、性暴力被害者相談事業についての発言)、「LGBT のカップ ルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女たちは子供を作ら
ない、つまり「生産性」がないのです。」(『新潮 45』2018 年 8 月号掲載論文)など、女性 や性的マイノリティを蔑視する発言を繰り返してきました。私たちが中でも看過できない
のは、女性差別撤廃条約や男女共同参画社会基本法に対する一貫した敵視と無理解の主張 です。やや長文ですが、正確を期して以下に引用します。
◎2013 年 11 月 19 日 衆議院法務委員会での質問
(男女共同参画社会基本法について) 男女共同参画社会基本法、私はこれは本当にナンセンスな法律だと思っておるんですけれ ども、これの成立のもとになりました女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条
約というのがあります。日本は昭和六十年に批准しているんですけれども、(中略)この条 約の中には。それまで持っていた慣習とか文化とかを壊してでも男女平等にしなさいということが書かれてあるんですね。(中略)この女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関
する条約、ほとんどもう女性の人権がないような国もありますから、そういう国に対して は有効だったかもしれませんが、日本というのは、ちゃんと基本的人権という女性の人権というものも確立された国の上にこういう条約を結んでしまいましたので、何かわけのわからないナンセンスな、混合名簿だとか、男子と女子と同じ教育を受けるみたいな、そういったナンセンスなことがこの男女共同参画社会基本法のもとで行われているんです。これがそもそも、今回の法律なんかでも、事実婚を認めるだとか夫婦別姓を進めるだとか、そういったようなことのもとになってしまった悪法なんじゃなかというふうに感じるんで
すけれども、そのあたりはいかがお考えでしょうか。
◎2014 年 10 月 15 日 衆議院内閣委員会での質問
(女性差別撤廃条約について) 女子差別撤廃条約をいろいろ隅々まで読んでおるんですけれども、こういった、例えば命にかかわるような女性差別があるような国とかにとってはこういう条約というのは本当
に必要なものではないかと思うんですけれども、日本はそれと比べてどうですか。女性の 差別は存在しますか。私は、女性差別というのは存在していないと思うんです。その中で
この女子差別撤廃条約というのを日本は結んでしまっています。(中略)日本は戦後、国際 条約とか国際的ルールづくりについて、余りにも今まで受け身であったと言わざるを得な
いと思うんです。一回つくってみて、やってみて、おかしいということがあればクレーム をつけることができるはずなんですが、戦後一度も国連に対して修正動議を出したことが
ないんです。このようなこともしっかりと検討していただいて、このような日本の風土に 合わないような条約は、やってみておかしいと思ったらそれを撤廃するような方向にもし
っかりと考えていっていただけたらと思います。
◎2014 年 10 月 31 日 衆議院本会議での質問
(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律について) 我が国は、昭和六十年に締結した女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約に基づき、国連委員会に対し、政治的、社会的、経済的及び文化的活動に女性が男性と平
等に参加することに対し、残っている障害を克服するための措置を報告しなければなりま せん。これは、本法案で自治体や企業に課している女性の採用比率や女性管理職比率など
の定量的目標設定といった内容と一致しますが、国連に勧告されたから本法案をつくった のですか。この法案と、いわゆる女子差別撤廃条約、そしてそれをもとに策定された男女
共同参画社会基本法との関係をお尋ねします。
本来、日本は、男女の役割分担をきちんとした上で女性が大切にされ、世界で一番女性 が輝いていた国です。女性が輝けなくなったのは、冷戦後、男女共同参画の名のもと、伝
統や慣習を破壊するナンセンスな男女平等を目指してきたことに起因します。
男女平等は、絶対に実現し得ない、反道徳の妄想です。女性にしか子供を産むことがで きない、この当たり前のことに目を背けた政策を続けた結果、男性ばかりか当の女性まで
が、女性にしか子供が産めないことをネガティブに捉える社会になってしまいました。そ の結果、ドメスティックバイオレンスが蔓延し、離婚が増加、少子化や子供の貧困の原因
となっています。次世代の党(注:当時の所属政党)は、この男女共同参画基本法という 悪法を廃止し、それに係る役職、部署を全廃することが、女性が輝く日本を取り戻す第一
歩だと考えます。(中略)
女子差別撤廃条約の破棄、男女共同参画基本法の撤廃を行い、男女がお互いに尊重し合 える社会を取り戻すことを日本国の皆さんにお誓いして、私の質問を終わります。
杉田議員の以上のような主張が、ジェンダー平等を規定している日本国憲法や国際人権 条約に反していることは明らかです。また、これらの主張は、「男女共同参画は、日本政府
の重要かつ確固たる方針であり、国際社会で共有されている規範である。」(2022 年 6 月 3日「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2022(女性版骨太の方針
2022)」はじめに)とす る、岸田政権の基本方針とも全く相いれないものです。
政党・政治家が自らの政策を国会などで主張することは当然の権利ですが、憲法 98 条(憲 法の最高法規性、条約及び国際法規の遵守)、憲法 99
条(憲法尊重擁護の義務)に違反す ることはできません。杉田議員はこの義務に違反しています。
このような議員を政府の要職に任命したことは、岸田政権がジェンダー平等政策に背を 向け、差別・人権侵害を容認する政権であると内外に宣言したに等しく、行政の中立性原
則からも許されないことは明らかです。
私たちは、岸田内閣総理大臣が、杉田水脈議員の総務政務官任命の誤りを認め、直ちに 任命を撤回するよう強く求めます。
【女性差別撤廃条約実現アクション加盟団体】 国際女性の地位協会/すぺーすアライズ/全印総連女性部/NPO 法人共同の家プアン/ クオータ制を推進する会(Q
の会)/クオータ制の実現をめざす会/アジア・太平洋人権 情報センター(ヒューライツ大阪)/日本婦人団体連合会(婦団連)/全労協女性委員会/ ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク(WWN)
/国際婦人年連絡会/新日本婦人の会/ 北京 JAC/均等待遇アクション 21/公人による性差別をなくす会/世界女性会議岡山連 絡会/日本女性監視機構(JAWW)
/なくそう戸籍と婚外子差別・交流会/「慰安婦」問題 解決オール連帯ネットワーク/戦時性暴力問題連絡協議会/女性参政権を活かす会/アイ 女性会議/ふぇみん婦人民主クラブ/杉並女性団体連絡会/アジア女性資料センター/精
神障害者権利主張センター・絆/全労連女性部/アクティブ・ミュージアム「女たちの戦 争と平和資料館」(wam) / 全国フェミニスト議員連盟/NPO
法人参画プラネット/ジェ ンダー平等をすすめる教育全国ネットワーク/ねりまジェンダー研究会/国際人権規約完 全実施促進連絡会議/投票サプリ/NPO
法人 N プロジェクトひと・みち・まち/農民運 動全国連合女性部/ねりま 24 条の会/女性「九条の会」/婦人民主クラブ/NPO 法人 m ネット・民法改正情報ネットワーク/連合ジェンダー平等・多様性推進局/シャキット富
山 35/全国女性シェルターネット/反差別国際運動(IMADR) / DPI 女性障害者ネット ワーク/東京生活者ネットワーク/全国商工団体連合会婦人部協議会/「慰安婦」問題と
ジェンダー平等ゼミナール/自由法曹団女性部/女性差別撤廃条約選択議定書批准を求め る実行委員会とやま/ウィメンズマーチ東京/めぐろジェンダー平等の会/練馬区職員労
働組合女性部/RHR リテラシー研究所/公益財団法人日本キリスト教婦人矯風会/男女 共同参画みえネット/女性グループ翼(ウイング)/特定非営利活動法人四日市男女共同
参画研究所/NPO 法人高齢社会をよくする女性の会/はたらく女性のフロアかながわ/ 公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)/女性労働問題研究会/ジェンダー平等
OTOKUNI/自主グループエポック 10
(65 団体、うち非公表 1 団体 2022 年 8 月現在)
【抗議文賛同団体】 川崎から日本軍「慰安婦」問題の解決を求める市民の会/一般社団法人めざす Fe51/憲法 勉強会ベアテの会/24 条を活かす会@湘南/高槻ジェンダー研究ネットワーク/一票で
変える女たちの会/おんな・こどもをなめんなよ!の会/にいざジェンダー平等ネットワ ーク/自治市民の会/あるこうよむらさきロード/男女共同参画と災害復興ネットワーク/OPEN
平和と平等を拓く女たちの絆/足立・性的少数者と友・家族の会/やまなし地域 女性史「聞き書き」プロジェクト/国会議員の科研費介入とフェミニズムバッシングを許
さない裁判支援の会(フェミ科研費裁判支援の会)/Alliance YouToo/「女性・戦争・人 権」学会/れ組スタジオ・東京/性暴力禁止法をつくろうネットワーク/SOSHIREN
女( わたし)のからだから/ベアテさんの会/NPO 法人レインボー・アクション/かなが わ朝鮮女性と連帯する会/働く女性の人権センター いこ☆る (24
団体)
抗議文ダウンロード ➡ PDF
<特別決議>
安倍元首相の「国葬」実施に反対します
参議院選挙中の7月8日に、演説中の安倍晋三元首相が銃撃され死亡するという痛ましい事件が起きました。言論の自由を暴力で封じ、自由と民主主義を否定する暴挙として強く糾弾します。
岸田首相は、安倍元首相の在任中の功績を全面的に礼賛する立場から、「国葬」を秋に実施すると表明しました
法的根拠もなく、安倍元首相への評価も分かれるなかで、全額国費による「国葬」を実施することは、安倍元首相の内政、外交を国家として賛美・礼賛することになります。また、安倍氏への弔意を事実上国民に強制することも懸念されます。
私たちは、こうした問題点を含む「国葬」の実施には反対します。そして、暴力やテロのない、自由と民主主義の根付く社会をめざして行動を強めていきます。
2022年7月21日 日本婦人団体連合会幹事会
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<声明>
2022年2月25日
日本婦人団体連合会
会長 柴田真佐子
ロシアのウクライナへの軍事侵攻に抗議し中止を求めます
ウクライナをめぐる情勢がきわめて緊迫し、武力行使に反対する声が高まる中、ロシアはウクライナへの軍事侵攻を開始しました。これは、ウクライナの主権を侵害し、市民のいのちとくらしを破壊し、国際的にも許されない行為であり、強く抗議するとともに直ちに中止することを求めます。ウクライナをめぐる問題は、ロシアをはじめ各国間の外交努力によってあくまで平和的に解決されなければなりません。
プーチン大統領が攻撃前の演説で、ロシアが核保有大国であると強調したことは、核兵器禁止条約が禁止した核兵器による威嚇であり、断じて許されません。ウクライナには多くの原発も存在し、武力行使が核による惨事を引き起こす可能性も懸念されます。
婦団連の加盟する国際民主婦人連盟・加盟団体からも、武力行使に反対し平和的外交的解決を求める声があがっています。ロシア・ウクライナなどのユーラシア各国の女性たちは「どの民族の人々も流血は望んでいない。平和的な解決を」と切実な声をあげています。
私たちは、平和を望む世界の人々と連帯し、この問題の、武力によらず平和的な解決を求めます。
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《談話》
国民のいのち最優先の政治、平和・ジェンダー平等社会を!
市民連合と野党4党の共通政策に賛同・歓迎します
2021年9月13日
日本婦人団体連合会
会長 柴田真佐子
9月8日立憲民主党、日本共産党、社民党、れいわ新選組の4党は「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」と、野党共通政策「衆議院選挙における野党共通政策の提言-命を守るために政治の転換をー」に合意しました。私たちはこの合意を心から歓迎します。
この合意には、「5 ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現 ・ジェンダー、人種、年齢、障がいなどによる差別を許さないために選択的夫婦別姓制度やLGBT平等法などを成立させるとともに、女性に対する性暴力根絶に向けた法整備を進める。・ジェンダー平等をめざす視点から家族制度、雇用制度などに関する法律を見直すとともに、保育、教育、介護などの対人サービスへの公的支援を拡充する。・政治をはじめとした意思決定の場における女性の過少代表を解消するため、議員間男女同数化(パリテ)を推進する。」が盛り込まれています。
菅政権が昨年12月に閣議決定した第5次男女共同参画基本計画は、2000年12月に策定された第1次男女共同参画基本計画から盛り込まれてきた「選択的夫婦別氏制度」の文言を削除し「夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し」と、大幅に後退しました。
国民の7割が賛成している選択的夫婦別姓制度の一日も早い導入に期待します。ここに掲げられた事柄の一日も早い実現を期待します。
新型コロナウイルス感染症の流行は、子どもや女性、高齢者、障害者、非正規労働者など、社会的に脆弱な人々の生活を直撃し、貧困・格差を拡大しました。ⅮⅤ被害、性犯罪、性暴力、自殺者の増加と事態は深刻です。
コロナ禍は、世界でも日本でも新自由主義の矛盾、ジェンダ―差別の存在を浮き彫りにしました。私たちは、いのちを最優先し、ジェンダー視点でのコロナ対策を求めてきました。
ジェンダー格差指数が世界で120位という状況のもとで、選択的夫婦別姓実現をはじめ、女性蔑視発言への抗議、「生理の貧困」解消、女性差別撤廃条約選択議定書批准など「女性の権利を国際基準に」をかかげ、個人の尊厳を求めて幅広く手をつなぐ運動がこれまでになく広がっているなかで、市民と野党4党の共通政策に基づく新たな政権ができることに期待します。
私たちは、女性の共闘を広げ、市民と野党の共闘を前進させ、政権交代を実現して、コロナ対策をはじめ国民のいのち最優先の政治、平和・ジェンダー平等社会を実現するために頑張ります。
<声明> ダウンロード ➡ PDF
《談話》
夫婦同姓強制を合憲とした最高裁決定に抗議し、夫婦別姓制度の早期導入を求めます
2021年6月30日
日本婦人団体連合会
会長 柴田真佐子
6月23日、最高裁判所大法廷は、夫婦同姓を強制する民法750条の規定と戸籍法74条1項の規定について「憲法24条に違反するものではない」とし合憲の判断をしました。15人の裁判官中、女性1人を含む4人が「違憲」判断をしました。
前回2015年の大法廷判決以降の社会的変化や「選択的夫婦別氏制度の導入に賛成する者の割合の増加その他の国民の意識の変化」などの諸事情等を踏まえても「2015年大法廷判決の判断を変更すべきものとは認められない」とし、再び合憲判断を繰り返したことに対し強く抗議します。
夫婦同姓の強制により96%が夫の姓となっていることは女性に対する間接差別です。選択的夫婦別姓制度の導入については、2003年の女性差別撤廃委員会総括所見以来3度にわたり日本政府に実施勧告が出されてきました。
夫婦同姓を法で強制しているのは日本だけです。この間女性の社会進出がすすむなかで、姓を自ら選択することを望む女性が増加し、世論調査でも選択的夫婦別姓導入を望む声は7割をこえ、選択的夫婦別姓制度の導入を求める地方議会からの意見書も多数採択されています。
日本が女性差別撤廃条約を批准してから36年、選択的夫婦別姓制度の導入を求めた法制審議会の答申から25年が経過しています。婦団連は2004年以来毎年、選択的夫婦別姓制度の導入など民法の差別的規定の廃止・法改正を求める署名にとりくみ、国会請願を行い、政府交渉においても声をあげてきました。今回の最高裁決定は、国際機関からの勧告を無視し、女性の長年にわたる切実な声を一顧だにしない不当な判断であり、世界の流れに逆行するものです。
一方で今回の決定は、制度の在り方は2015年大法廷判決の指摘するとおり「国会で論ぜられ、判断されるべき」とし、補足意見は国会において「真摯な議論がされることを期待する」としています。
第5次男女共同参画基本計画の策定過程でも明らかになったとおり、選択的夫婦別姓制度の導入を妨害しているのは自民党の右派勢力です。来る総選挙ではこの問題を大きな争点とし、市民と野党の共闘による政権交代で、選択的夫婦別姓制度の導入をはじめ、個人の尊厳を守り、ジェンダー平等を進める政治を実現するために取り組みを強める決意です。
〈談話〉
改憲手続法改正案の採決強行に抗議します
2021年6月14日
日本婦人団体連合会
会長 柴田真佐子
参議院本会議で6月11日、国民投票法改正案(改憲手続法改正案)が可決・成立しました。市民・法律家団体の反対の声を押し切り、採決を強行したことに強く抗議します。
現行の国民投票法は、最低投票率を設けない、公務員の運動を不当に制限している、資金力の多寡によって広告の量が左右される広告放送など問題がある欠陥法です。今回の改正案はこれらの問題を解決していません。附則で、改正法施行後3年をめどに、広告規制、資金規制、インターネット規制などの検討と措置を講ずるとしていますが、現行法の重大な欠陥は解決されないままです。
菅首相は本年5月3日に改憲派集会に寄せたビデオメッセージで、国民投票法改正案について、「憲法改正議論を進める最初の一歩として成立を目指す」ことを公言しており、これが改憲を加速させるための法改正であることは明らかです。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続いて緊急事態宣言が繰り返され、国民のいのちとくらしが脅かされています。とりわけ女性たちはコロナ禍の影響を大きく受けています。国民は憲法改正など望んでいません。政府は、日本国憲法を遵守し、コロナ対策を含め、憲法があらゆる分野に生きる社会の実現を目指すべきであり、医療・社会保障の充実など、憲法のうたう生存権の保障が今ほど求められるときはありません。
日本婦人団体連合会は、改憲に反対し、憲法が生きる社会、誰もが人権を尊重され人間らしく生きられるジェンダー平等社会の実現をめざし、運動を広げます。
来たるべき総選挙では、市民と野党の共闘の力で改憲反対勢力を大きくし、菅政権の改憲策動をやめさせる決意です。
以上
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〈パブコメ〉
民法(親子法制)等の改正に関する中間試案に対するパブコメ
2021年4月21日
日本婦人団体連合会(婦団連)
〒151-0051
東京都渋谷区千駄ヶ谷4-11-9-303
TEL 03-3401-6147
FAX 03-5474-5585
Eメールfudanren@cocoa.ocn.ne.jp
第2 嫡出の推定の見直し等
1 嫡出の推定の見直し
意見
離婚後300日以内に生まれた子は(元)夫の子とする嫡出推定制度を残し、母の再婚後の子だけを再婚した夫の子と推定する③案については問題がある。なぜなら、母が何らかの理由で再婚(法律婚)をしない、またはできない場合には前夫の子と推定されるため、母が出生届を出さず、無戸籍者の問題が継続するからである。
無戸籍者の問題解消のためには、嫡出推定制度そのものを撤廃すべきである。
現在、婚姻や家族の在り方は多様化している。血縁上の親子関係の確定が必要な場合はDNA鑑定で可能であり、そもそも嫡出推定は必要がない。
第3 女性の再婚禁止期間の見直し
民法第733条の削除に関する2案について
意見
試案通り、再婚後に生まれた子は再婚した夫の子と推定するならば、再婚禁止期間は不要となり、民法733条は撤廃することになる。
第4 嫡出否認制度の見直し
意見
DVなどの諸事情により前夫との関わりを持てない母にとっては、前夫を相手とする嫡出否認の申し立ては困難であるという問題がある。嫡出推定制度そのものを撤廃すれば否認制度も不要となる。
パブコメダウンロード ➡ PDF
〈抗議談話〉
2021年2月4日
森喜朗氏の女性蔑視の発言に抗議し、辞任を求めます
日本婦人団体連合会(婦団連)
会長 柴田真佐子
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は日本オリンピック委員会の臨時評議員会で、女性理事を増やすJOCの方針に対し「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」などと発言したと報道されています。
今回の森喜朗会長の発言に強く抗議し辞任を求めます。意思決定の場への女性参画は、国際的な常識であり、国際水準の「203050」には遅れをとりながらも日本政府も推進していることです。
「女性が多い会議は時間がかかる」とか「女性の理事を増やす場合は、発言時間をある程度、規制」など、女性蔑視極まりない発言で、許せません。会議は、自由闊達に意見を述べることが大切であり、自由にモノが言えない組織は発展しません。
女性たちはもう黙っていません。婦団連も加盟する国際婦人年連絡会は、昨年、2020NGO日本女性大会を開催し「私たちは黙らない 女性の権利を国際水準に!」とアピールしたところです。
森喜朗氏は今までにも女性蔑視の発言を繰り返しており、ジェンダー平等を実現する流れに逆行しています。東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長の辞任を求めます。
〈声明〉
2021年1月31日
日本婦人団体連合会
会長 柴田真佐子
【声明】
婦団連は核兵器禁止条約の発効を歓迎し日本政府の条約への参加を求めます
核兵器禁止条約が1月22日に発効しました。これは、広島・長崎の被爆者をはじめ、「核兵器のない世界」を求める世界の多くの政府と市民社会の共同の取り組みによる画期的成果です。婦団連は、核兵器廃絶を一貫して訴えてきた団体として、国際民婦連およびその加盟団体と共に、条約発効を心から歓迎します。
条約の発効は、核兵器保有国および核抑止力に依存する国を「国際法違反の国」として政治的・道義的に追い詰めていく大きな力となるでしょう。
日本の菅政権が、世界の流れに背を向けて、国民多数が望む核兵器禁止条約への参加を拒否していることは恥ずべき態度であり、国内外で失望を広げています。婦団連は、日本政府が条約に署名・批准するよう強く働きかけていきます。
【声明英語版】
FUDANREN welcomes enforcement of UN Treaty prohibiting nuclear weapons
and presses the Japanese government to sign and ratify it
January 31, 2021
Japan Federation of Women’s Organizations
(FUDANREN)
The UN Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons came into force January
22. This is a historic milestone made by the many years of collective efforts
by Hibakusha in Hiroshima and Nagasaki, and the many governments and civil
society from around the world seeking to realize “a world without nuclear
weapons”.
As an organization that has consistently called for the abolition of nuclear
weapons, FUDANREN, together with the WIDF and member organizations wholeheartedly
applauds this moment.
The enforcement of the Treaty will have a great impact politically and
ethically on nuclear-armed states and nations that rely on nuclear weapons
as a deterrent force, and stigmatize them as “violator of international
law”.
In Japan, the Suga administration, turning their back on this international
trend, refuses to sign the treaty which a majority of Japanese support,
which is a shameful attitude that has resulted in deep disappointment both
at home and abroad.
FUDANREN will be pressing the Japanese government to sign and ratify the
UN treaty
<談話>
第5次男女共同参画基本計画の閣議決定をうけて
2020年12月25日
日本婦人団体連合会
会長 柴田真佐子
政府は、本日第5次男女共同参画基本計画を閣議決定しました。
日本婦人団体連合会は、日本のジェンダー平等に向けた取り組みを国際基準に合致させ、憲法と女性差別撤廃条約に基づく基本計画とするために、具体的な要望をしてきました。策定された計画には、計画案に対する多数のパブコメや要望を反映した内容もある一方で、ジェンダー平等推進反対勢力の圧力に屈してこれまでの計画より後退した項目もあることは重大な問題です。
「計画」は、2003年に掲げ第4次計画でも保持した「202030」目標(2020年までに指導的地位の女性30%を目ざす)未達成の原因の責任ある検証もせず、目標達成を「2020年代の可能な限り早期に」と先送りしています。これでは、ジェンダーギャップ指数153カ国中121位(2019年発表)というジェンダー平等の遅れから脱却できません。2030年までに50%を目ざすという国際水準に見合った計画とすべきです。
選択的夫婦別姓制度の導入については、寄せられた多くのパブコメすべてが賛成意見であり、首相が国会で「政治家として(導入に)責任がある」と答弁したにもかかわらず、第4次計画や当初案に入っていた「選択的夫婦別氏制度」「必要な対応を進める」の文言を削除し「夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方」に関し…「更なる検討を進める」と後退しています。さらに、「戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、また家族の一体感、子供への影響…も考慮」すると、自民党内反対派の意見が色濃く反映されています。選択的夫婦別姓導入は、世論調査でも7割が賛成し、地方議会からの意見書が100を超え、国連女性差別撤廃委員会から再三勧告されている課題であり、直ちに実施すべきです。
女性差別撤廃条約選択議定書の批准については「諸課題の整理を含め、早期締結について真剣な検討を進める」とあります。20回におよぶ政府の研究会で、もはや批准への障害はないことが明らかになっています。外相の国会答弁どおり「検討を加速」して、女性差別撤廃条約実施に関する第9次報告提出までにすみやかに批准することを求めます。
家族従業者の働き分を認めない所得税法第56条については、「女性が家族従業者として果たしている役割に鑑み」と言いつつ、「事業所得等の適切な申告に向けた取組を進めながら、税制等の各種制度の在り方を検討する」と、申告方法による差別を継続する内容です。世界の主要国では家族従業者の働き分を必要経費と認めており、女性差別撤廃委員会からも「所得税法の見直し」が勧告され、所得税法第56条の廃止を求める意見書は550自治体で採択されています。差別的な法規である所得税法第56条は廃止すべきです。
婦団連は、今後も第5次男女共同参画基本計画の内容を詳しく検討し、必要な内容の実施を求めていきます。そして、憲法と女性差別撤廃条約に基づくジェンダー平等社会の実現に向け、さらに取り組みを進めます。
以上
【婦団連総会特別決議】
日本学術会議会員候補の任命拒否に抗議し、撤回を求めます
日本婦人団体連合会(婦団連)は、女性団体、労働組合・市民団体の女性部などで構成され、23団体が加盟しています。1953年の創立以来一貫して、ジェンダー平等、人間らしい暮らしと労働、平和を求めて活動しています。
菅首相は、日本学術会議が新会員として推薦した105人のうち6人を任命拒否しました。これは、学術研究の独立機関への不当な人事介入であり、日本学術会議法に反するばかりか、憲法が保障する学問の自由の侵害にほかなりません。政府の意に沿わない人を排除することがまかり通れば、言論表現の自由、思想信条の自由を揺るがす事態となることを強く危惧します。社会が委縮し、多様性が失われ、民主主義と立憲主義が破壊されることは、断じて容認できません。
菅首相は任命拒否を正当化するために「総合的・俯瞰的」、「多様性確保」などと述べていますが、これは私立大学の研究者や女性研究者を排除した事実と矛盾するものです。さらに「事前調整がなかったから任命にいたらなかった」と、学術会議の独立を脅かす政治介入を公然と国会答弁するなど、任命拒否を正当化する論拠は完全に破たんしています。
日本学術会議は、ジェンダー問題に関しても、実態に即した研究に基づき、政府に率直な政策提言を行ってきました。9月には「社会と学術における男女共同参画の実現を目指して―2030年に向けた課題―」など3つの提言を発表しています。国際的にも遅れた日本のジェンダー平等状況改善のためには、今後も多様性の確保された自由な研究に基づく率直な政策提言が必要です。
以上の理由から、私たちは、菅首相の任命拒否に強く抗議し、撤回を求めます。
婦団連は、憲法に基づく基本的人権が尊重され、学問の自由と言論表現の自由、思想信条の自由が保障される社会、ジェンダー平等の実現を求めて運動を広げていきます。
以上、決議します。
2020年11月21日
日本婦人団体連合会第47回総会
【総会特別決議】➡ダウンロード
【談話】
核兵器禁止条約の発効確定を受けて―日本政府の条約への参加を求めます
2020年10月26日
日本婦人団体連合会
会長 柴田真佐子
核兵器禁止条約の批准国が50カ国となり、2020年1月22日に発効となります。核兵器の禁止・廃絶を求めてきた被爆者や国内、世界の人々の今日までの運動に敬意を表します。
婦団連初代会長平塚らいてうらは、ビキニ水爆実験を受け、1954年9月、「全世界の婦人にあてた日本婦人の訴え―原水爆の製造、実験、使用禁止のために―」を国際民主婦人連盟に送り、広く世界の女性たちに訴えました。この訴えが、世界母親大会、日本母親大会のきっかけとなりました。以来、婦団連は、各国の女性たちと連帯し、核兵器廃絶の運動をすすめてまいりました。
核兵器禁止条約が国連で採択されてからは、国際民主婦人連盟の加盟団体に対して、自国の政府に条約に参加をするよう働きかけるよう訴え、ヒバクシャ国際署名を呼びかけてきました。
日本政府は、唯一の戦争被爆国であるにもかかわらず、禁止条約に背を向け続けています。核抑止論に固執するのではなく、直ちに禁止条約への署名・批准を行うことを求めます。
条約をいかし、世界の女性たちと連帯し、核兵器廃絶をめざす運動をさらに強める決意です。
【談話】
杉田水脈議員の発言に、断固抗議し、謝罪・発言撤回、議員辞職を求めます
2020年9月28日
日本婦人団体連合会
会長 柴田真佐子
自民党・杉田水脈衆議院議員が性暴力被害者に関して行った「女性はいくらでもうそをつけますから」との発言に、断固抗議し、謝罪・発言撤回、議員辞職を求めます。杉田発言は性暴力被害者の尊厳を深く傷つけ、追い詰め、沈黙を強いる暴言であり、性暴力根絶に向けての動きを後退させかねません。
杉田議員は、2018年にはLGBTsカップルに「生産性」がないなどとする差別的な暴言を月刊誌に寄稿し、国民の怒りをかいました。今年1月の衆院本会議では、選択的夫婦別姓導入を求めた野党議員の質問時のやじが大きな問題になりました。杉田議員に国会議員としての資格がないのは明白であり、自民党が、これ以上同議員の人権侵害行為を不問にし続けるのは許されません。
日本はジェンダー格差指数が153カ国中121位というジェンダー平等停滞国です。いまだに社会に根深く存在する偏見や性差別をただすことが政治に求められる役割なのに、国会議員が率先して性差別的発言を行うことは許されるべきことではありません。杉田水脈氏には国会議員の資格はありません。発言に断固抗議し、発言の撤回・謝罪、そして議員辞職を求めます。
【談話】➡ PDFダウンロード
【要請書】
2020年6月25日
内閣総理大臣 安倍晋三 様
女性活躍担当大臣・内閣府特命担当大臣(男女共同参画) 橋本聖子 様
新型コロナウイルス感染症対策にジェンダーの視点を求めます
日本婦人団体連合会(婦団連)
会長 柴田 真佐子
新型コロナウイルス感染の収束が見通せないなか、「緊急事態宣言」は解除されましたが、都市部を中心に感染は増加傾向にあり、予断を許さない状況です。医療と検査体制を抜本的に強化し、今後の感染拡大に備える必要があります。医療崩壊を起こさないために、医療機関の深刻な経営危機に対する財政支援を抜本的に強化すること、暮らしと営業、雇用、教育を守るなどの対策が急がれます。営業自粛要請は補償とセットで行うこと、非正規労働者や中小業者・フリーランスへの直接支援が必要です。
コロナ禍は女性に深刻な影響を与えています。世界的に、コロナ対策の最前線で働く医療・福祉従事者の7割が女性です。また、働く女性の多くが低賃金・不安定な非正規労働者であり、経済危機のもとで真っ先に切り捨てられています。ある地方の労働相談センターでは、4月、5月は全体の相談件数が倍化(250件弱)、その8割がコロナ関連の相談でした。住まいを失うなど今日、明日の暮らしにも困窮している切迫した相談の6割強が女性、そのうち6割強が非正規です。外出自粛と生活不安によるストレスが、家庭内でのDⅤや虐待を誘発しています。
国連女性機関(UNウィメン)は、各国政府に「コロナ対策が女性を取り残していないか」と問い、ジェンダーの視点に立った対策が女性だけでなくすべての人々に良い結果をもたらすことを強調しています。ジェンダーの視点に立ったコロナ危機対策、社会的に弱い立場である、女性、高齢者、障害者、シングルマザー、妊産婦、性的マイノリティーの人たちの実態にみあった対策の実施を求め、以下の事項を要望します。
記
1、ジェンダーの視点に立った新型コロナウイルス感染症対策の実施のために、国や自治体のコロナ対策本部など意思決定の場に女性の参画を増やすこと。
1、女性の生活実態にみあった経済的・社会的支援を強め、給付金支給や補償は世帯単位ではなく、個人単位におこなうこと。DV被害者にも支援が届くようにすること。
1、医療・介護・福祉・保育・教育現場で働く女性労働者に対する支援及び人的配置を抜本的に強化し、安心と安全を確保するためにPCR検査等の実施体制、防護具の整備を強化すること。
1、正規・非正規労働者、フリーランスを問わず、すべての働く女性の雇用を守り、休業補償を行うこと。とりわけ、シングルマザーへの支援を強めること。
1、妊産婦への支援を強化し、すべての妊婦が安心して出産できる体制を国が保障すること。
1、全ての中小業者、農業従業者、家族従業者に支援が行き届くよう改善すること。
1、DVや虐待などに対応する相談窓口設置など相談体制の強化、被害者シェルターの確保、人員体制の強化をすすめること。
要請書 ➡ PDFダウンロード
<談話>
新型コロナウイルス感染症対策に憲法とジェンダーの視点を
-緊急事態宣言延長にあたって ダウンロード➡PDF
2020年5月7日
日本婦人団体連合会
会長 柴田真佐子
政府は5月4日、緊急事態宣言の5月31日までの延長を決定しました。
新型コロナウイルスの猛威は、政治、経済、文化のみならず、あらゆる人々の日常を激変させています。さまざまな団体や関係する人々が現場の切実な要求実現を求め、対策を前進させてきましたが、まだまだ十分ではありません。
医療現場では命を守るために懸命の努力がされています。しかし、深刻な実態にある医療・福祉対策についてはいまだ多くの不備が改善されていません。補正予算には「1人一律10万円現金給付」が国民世論の力で盛り込まれましたが、感染爆発、医療崩壊を阻止し、暮らしと生業を守り抜くためには全く足りません。宣言を延長するならなおさら、医療体制の抜本的強化、自粛とセットの補償のためのさらなる予算措置が必要です。
ジェンダー視点にたったコロナ危機対策が求められます。世界的に、コロナ対策の最前線で働く医療・福祉従事者の7割が女性です。また、働く女性の多くが低賃金・不安定な非正規労働で、今回のような経済危機のもとで真っ先に切り捨てられています。
外出自粛と生活不安によるストレスが、家庭内でのDⅤや虐待の危険を高めています。国連女性機関(UNウィメン)は、各国政府に「コロナ対策が女性を取り残していないか」と問いジェンダーの視点にたった対策が女性だけでなくすべての人々に良い結果をもたらすことを強調しています。G7ジェンダー平等委員会も、ジェンダー平等と女性の権利の悪化防止のための共同行動を要請しています。社会的に弱い立場である、女性、高齢者、障害者、シングルマザー、性的マイノリティーの人たちの実態にみあった政策、たとえば給付金は世帯単位でなく個人単位の支給に変更するなどが求められています。
新型コロナ対策を最優先すべき時に安倍政権は、年金受給開始の選択肢を75歳にまで延ばす年金法、内閣が検察人事に介入できる検察庁法、企業の種子支配をもくろむ種苗法の各重要改悪法案の成立、さらには憲法審査会での改憲論議をねらっています。日本国憲法をいかし、いのちと暮らし、平和と基本的人権、民主主義が守られる政治を行うべき時に、国民の多数が反対している改憲を持ち出すなど、決して許すことはできません。
世界的な感染抑止は国際連帯なしには実現しません。婦団連の加盟する国際民主婦人連盟は、すべての国が環境と自然資源の保護を政策のトップに掲げること、女性に対する暴力と搾取をやめること、何よりも、戦争をやめて膨大な軍事費を医療・福祉にまわすことを求めて運動しています。
国内外の女性と連帯し、憲法をいかしジェンダー視点にたった、いのちと暮らしを最優先する政治を実現させ、平和といのちと人権を守りましょう。 以上
<談話>(2019年12月27日)
自衛隊の中東派遣の閣議決定に抗議し、撤回を求めます ➡PDFダウンロード
自衛隊の中東派遣の閣議決定に抗議し、撤回を求めます
2019年12月27日
婦人団体連合会長 柴田真佐子
安倍内閣は、本日27日自衛隊の中東派遣を閣議決定しました。安倍内閣は、今回の派遣について防衛省設置法に基づく「調査・研究」であり、「有志連合」への参加ではなく、「独自の取り組み」だとしています。
今回の問題は、米トランプ政権がイラン核合意から一方的に離脱したことに端を発しており、敵対するイランの軍事的包囲網を築くため「有志連合」を呼びかけたことに対応するものです。
自衛隊を危険な海域に派兵することは、自衛隊が紛争に巻き込まれ、武力行使をする危険を招くものであり、憲法9条の平和主義に反するものです。
憲法9条のもとで、日本は今まで自衛隊員が「殺し殺される」ことはありませんでした。危険な海域への派兵により自衛隊員の生命・身体を危険にさらすことが危惧されます。
このような重大な問題を、国会審議にかけることなく、臨時国会閉会後に閣議決定で行うことは、民主主義の観点から断じて許されません。
今、日本がやるべきことは、軍事的緊張を高める派兵ではなく、米トランプ政権に核合意復帰を求めるなど、憲法原則に基づく平和的外交努力を尽くすことです。
婦団連は、憲法9条に反して行われる自衛隊の中東派遣の閣議決定に抗議し、自衛隊の中東への派兵の中止を求めます。
以上
<意見書>(2019年11月19日)
職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針の素案に対する意見書 ➡PDFダウンロード
2019年11月19日
厚生労働大臣 加藤勝信 殿
日本婦人団体連合会
会長 柴田 真佐子
職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に
関する指針の素案に対する意見書
日頃より、女性労働者の両立支援、働き続ける権利確立の為にご奮闘いただいている貴職のご活躍に敬意を表します。
日本婦人団体連合会は、女性団体、労働組合・市民団体の女性部など23団体が加盟する組織です。1953年の創立以来一貫して、真の男女平等、人間らしい暮らしと労働、平和を求めて活動しています。
労働施策総合推進法が改正され、事業主にパワーハラスメント防止のための措置義務が定められました。10月21日に労働政策審議会雇用環境・均等分科会に示されたパワハラ防止指針素案は、以下の問題を含んでおり、パワハラ防止に実効性がないばかりか、列記された具体的な事例がハラスメント防止を阻害する恐れもあると考えられます。以下の点につき、素案の抜本的な修正を求めます。
意 見
パワーハラスメントを「優越的な関係を背景とした言動」「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」により「就業環境が害されたもの」とする3つの要素をすべて満たすこと、と定義していますが、パワーハラスメントは優越的な職務上の地位関係により引き起こされるものだけではありません。「優越的な関係を背景とした言動」の事例に関し「抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係」と説明が付記されていますが、これにより、上司と部下の関係に限定される恐れがあります。
「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動についての事例では、「業務を遂行するための手段として不適当な言動」や「当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動」とありますが、相当な範囲の判断や回数、行為者の数が少なければどうなのか、社会通念という曖昧な判断基準では公平性の確保に問題があり、必要のない例示です。削除を求めます。
「個別の事案における労働者の行動が問題となる場合は、その内容・程度とそれに対する指導の態様等の相対的な関係性が重要な要素となる」とありますが、労働者の行動に問題があればそれに応じた過剰な叱責がパワハラに該当しないような記述は削除すべきです。
「就業環境を害すること」の判断基準を「平均的な労働者の感じ方」と規定していますが、何をもって平均的とするのか、どのような感じ方を社会一般の労働者が看過できないものとするか、このような判断をすることは困難です。この基準では多数決的な判断に陥り、多くのハラスメントが救済されない恐れがあります。
指針案では、6つの行為類型ごとにパワハラに「該当しない例」が記載されていますが、抽象的で、幅のある解釈が可能になる恐れもありますので、「該当しない例」は削除すべきです。該当する事例は、実態を反映した再検討・見直しを求めます。
国会の付帯決議も軽視されています。「労働者の主観」への配慮、取引先や顧客等の第三者から受けるハラスメント、就職活動中の学生、フリーランス等の直接雇用関係のない労働者に対するハラスメントへの配慮、性的指向・性自認に対する具体的な記述が不十分です。
今回の法改正は、ハラスメント禁止法として一括した改正ではありませんでした。そのため、関連法律が複数になり、ハラスメント救済の実効性を弱めています。すべての働く労働者を救済できる法整備を求めます。
<談話>(2019年5月29日)
「女性活躍推進法一部改正法案」の成立にあたり、ハラスメント禁止の包括的法整備を求めます
2019年5月29日
日本婦人団体連合会
会長 柴田真佐子
本日、参議院本会議で、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部改正法案」が可決成立しました。女性団体、労働組合は、これまで職場や社会に蔓延するセクハラ、パワハラなどのハラスメント行為の根絶を求めてきました。被害を受けた女性たちは、勇気をもって声をあげて訴えてきました。しかし、成立した関連改定法は、多くの女性たちが求めてきたハラスメント行為そのものを禁止する規定がないこと、ハラスメントの規定が限定されていること、制裁措置がないこと、セクハラ、パワハラ、マタハラ対策がそれぞれ別の法律に記載されていることなど、実効性の乏しいものとなりました。
セクハラは2006年の改正均等法で、事業主の防止措置義務が定められましたが、改正以降も一向に改善されていません。2017年度に都道府県労働局に寄せられたセクハラの相談件数は約7000件にのぼっていますが、均等法に基づく行政救済制度(「紛争解決の援助の申し立て」「調停申請」)が利用されたのは、わずかに2%程度です。勧告に従わない企業名が公表された事例は過去1件もありません。そのため多くの女性たちは泣き寝入りをしている現状にあります。
今回の改定法は、均等法に「セクハラ」「マタハラ」の不利益取り扱いの禁止が、また、労働施策総合法にパワーハラスメントに関する雇用管理上の措置義務が盛り込まれたものの、被害者救済と権利回復のための救済機関の設置にも触れておらず、就活中や顧客、取引先など、第三者からのハラスメントも対象にしていません。全国労働組合総連合の実態調査でも介護職場の利用者等からのハラスメントの深刻な実態が報告されています。
このような実態を一日も早く改善するため、衆議院・参議院で採択された附帯決議を実行に移し、ハラスメントを包括的に禁止し、制裁措置も盛り込んだ法律に改正することを強く求めます。
政府は、女性差別撤廃委員会の勧告を履行し、ジェンダーギャップ指数が149か国中110位という日本のジェンダー平等のとりくみの遅れを改善し、今年ILO総会で新たに採択する予定の「労働の世界における暴力とハラスメントの除去に関する条約」が批准できる内容の国内法、ハラスメント禁止の包括的な法整備を行うことを求めます。
以上
談話(2018年8月8日)
東京医科大入試の女性一律減点に抗議し、男女ともに仕事と生活を両立し、人間らしく働き続けられるような環境整備を求めます
2018年8月8日
日本婦人団体連合会
会長 柴田真佐子
東京医科大の入試不正問題を調べていた内部調査委員会は8月7日、調査報告書を発表、同大学が女性受験者の合格を抑制する女性差別をしていたことを認定しました。報告書は今年度の一般入試の2次試験で、受験者の性別などによって得点調整をしていたことを指摘し、女性差別の得点調整は遅くとも2006年以降の入試で行われていたことも明らかになりました。
このような「調整」は、いかなる理由をつけようとも許されない明白な女性差別であり、人種や性別などによる差別を禁じた憲法に反します。また、「出産における女性の役割が差別の根拠となるべきではなく、子の養育には男女および社会全体がともに責任を負うことが必要である」と規定し、あらゆる形態の女性差別すなわち「性に基づく区別、排除または制限」の撤廃を求める女性差別撤廃条約に明確に違反するものです。断じて認めることはできません。
同大学の言う「女性医師は結婚、出産、子育てで医師現場を離れるケースが多い」というのが現実であるならば、結婚、出産、子育てと医師の仕事の両立を可能にするワーク・ライフ・バランスのための環境整備こそが求められます。子育てや家事の負担が女性に偏っていることの是正ももちろん必要です。
OECD諸国で女性医師の割合は増加し続け、女性医師が過半数を占める国も多数ありますが、日本の女性医師割合は最下位の20・4%で平均の39・3%をはるかに下回り(2015年)、医学部入学者に占める女性割合は1998年ごろから3割の程度で推移しています。
女性医師の離職原因は、医師不足を背景とする長時間労働など医師全般の過酷な働き方にあります。日本の医師数はOECD諸国でも低水準ですが、政府は医師の過労死レベルの労働を前提とし、医師数増に消極的です。
私たちは、「女性の活躍」を標榜する政府のもとでこのような露骨な性差別が行われてきたことに厳重に抗議し、憲法と女性差別撤廃条約に基づくジェンダー平等社会の実現を求めます。そして、他の大学の実態も含めた徹底した真相究明による再発防止とともに、医師数増および、男女とも仕事と生活を両立し、人間らしく働き続けられるような環境整備を求めます。
声明(2018年6月20日)
米朝首脳会談を歓迎し、東アジア・世界の非核・平和の実現に力を尽します
2018年6月20日
日本婦人団体連合会会長
柴田真佐子
米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長は、6月12日にシンガポールで初の首脳会談を行いました。共同声明では、朝鮮半島の平和体制構築への努力と完全な非核化をめざすことで合意し、朝鮮戦争の終結と平和協定締結をめざすこと(「板門店宣言」)の支持も表明しました。
日本婦人団体連合会は、1953年4月、朝鮮戦争の終結を求め、日本の再軍備に反対し、平和を願う全国の女性が力を合わせることを目的に結成されました。その後一貫して平和のための国内外の女性の共同行動に力を尽くしてきた団体として、非核・平和に向けた今回の重要な一歩を心から歓迎します。
朝鮮半島の非核化と平和体制構築への動きが今後着実に前進するならば、東アジア地域の情勢は大きく変わることが期待されます。そのためには、米朝両国の誠実な努力とともに、国際社会の協調したとりくみ、この動きを支持する世論と運動が不可欠です。
「国連軍」後方体制の当事者としても、戦争による唯一の被爆国としても、日本政府の役割は重要です。圧力一辺倒ではなく、朝鮮戦争終結と平和体制構築、朝鮮半島の完全な非核化に積極的に関与すべきです。そして、「慰安婦」問題解決を含む過去の植民地支配の清算など日朝間の諸懸案を包括的に解決し、国交正常化のための努力をすべきです。
婦団連の加盟する国際民主婦人連盟は、朝鮮戦争中の「国連軍」の名による米軍の戦争犯罪を調査・告発し、世界に戦争終結を呼びかけた歴史をもっています。国際民主婦人連盟代表団は4月に平壌を連帯訪問し、すべての軍事基地撤去、核兵器廃絶、朝鮮半島の自主的再統一と平和のために世界の女性の力を発揮しようという宣言を発表しました。
婦団連は、朝鮮半島の非核化と平和体制構築を推進するのはこうしたNGOの行動を含む幅広い国際連帯であることを再確認し、改憲を許さず、日本と東アジア・世界の非核・平和を実現するためにさらに奮闘します。
談話(2018年5月29日)
過労死を増やし、格差を固定化する「働き方改革」一括法案の強行採決に抗議する
2018年5月29日
日本婦人団体連合会
会長 柴田真佐子
安倍内閣は、「働き方改革」一括法案を5月25日衆議院厚生労働委員会で「過労死家族の会」の訴えに耳をかすこともなく労働者、労働組合、法曹関係者、学者・研究者の声を無視し十分な審議も行わず強行採決しました。日本婦人団体連合会は、過労死を増やし、女性が平等に働き続ける権利を侵害する「働き方改革」一括法案の強行採決に抗議します。
「高度プロフェッショナル制度」は過労死促進制度であることが明らかになりました。
過労死や過労自死の重要な原因のひとつである長時間労働の規制が求められているにもかかわらず、単月100時間未満、2~6か月各平均80時間未満の時間外労働の上限規制では過労死・過労自死はなくなりません。
「女性の活躍」「女性が輝く社会」の実現を本気で推進するのであれば、何より長時間労働をなくすことです。「高度プロフェッショナル制度」の創設をやめ、時間外労働の上限は「月45時間、年360時間」とすべきです。
女性労働者の約6割が非正規労働者です。非正規労働は、雇用不安と低賃金、社会保障制度の恩恵からほど遠いなど、生涯を通じ女性の貧困と格差を固定化しています。高齢女性の多くが無年金、低年金のもとで、人間らしいくらしを奪われています。安倍政権は、社会保障の大改悪の一方で、労働力不足・少子高齢化を掲げ、「多様な働き方」の名のもとに非正規労働の拡大をねらっています。
「同一労働・同一賃金」の実現をはかることについても、この法案では正規と非正規の格差が固定化され改善は望めません。
このような問題の多い「働き方改革」一括法案は、女性の人間らしく働く権利を奪う制度改悪です。法案の基となった調査データのねつ造が判明し、法案論拠が破綻していることはこれまでの国会論戦で明らかです。
過労死・過労自死を増やし労働者の命を奪い、家族の日常を壊す「働き方改革」一括法案の強行採決に抗議し、廃案を求めます。
談話(2018年5月17日)
政治分野における男女共同参画推進法の成立を歓迎し、実質的なジェンダー平等の前進を求めます
2018年5月17日
日本婦人団体連合会
会長・柴田真佐子
政治分野における男女共同参画推進法が、5月16日に参議院本会議で全会一致で可決・成立しました。この法律は罰則規定がない理念法であり、衆参両院や地方議会の選挙で、政党や政治団体に、男女の候補者数を「できる限り均等」とすることや目標の設定など自主的な取り組みも求めるものです。また、国や自治体には、国内外の状況に関する実態調査、啓発活動などの「必要な施策」の策定・実施の努力義務を課すものです。
日本の国会議員の女性比率は衆議院10・1%(47人)、参議院20・7%(50人)ときわめて低く、列国議会同盟(IPU)の各国下院の調査(4月1日時点)では193カ国中158位です。候補者に占める女性の割合は昨年の衆院選で17・7%、「女性ゼロ」の市町村議会は352と全体の2割を占めます(朝日新聞5月17日付)。本法成立は、このように国際的にも際立って遅れている日本の女性の政治参画を後押しするものとして歓迎します。
重要なことは、この法律の成立を機に、実質的なジェンダー平等の実現に向けて前進することです。いま日本では、政権が「女性の活躍」を標ぼうしながら財務次官のセクハラを擁護する閣僚の暴言が続き、首相もそれを容認するという異常な事態の中で、「セクハラのないジェンダー平等社会を」という世論と運動が広がっています。政治分野における女性参画を推進することは、国際的な到達からかけ離れた女性の人権状況を改善するための喫緊の課題です。
また、本法の目的は「政策の立案や決定に多様な国民の意見が的確に反映される」こととされており、そのためには、民意の反映を著しくゆがめている小選挙区制を廃止し、国民の多様な意思が正確に反映される選挙制度への抜本的な改革が必要です。
緊急声明(2018年4月19日)
セクハラ疑惑への政府・財務省の対応に強く抗議し、福田淳一事務次官の罷免、麻生財務大臣の辞任を求めます
2018年4月19日
日本婦人団体連合会
会長 柴田真佐子
複数の女性に対するセクハラ行為が報道された財務省福田淳一事務次官が多くの批判を受けて辞任を表明しましたが、セクハラの事実は否定し、「女性が接客する店で『言葉遊び』を楽しむ」などという女性蔑視発言への反省もありません。辞任は当然ですが、辞任による幕引きは許されず、セクハラへの反省もない次官は罷免すべきです。
また、セクハラ事件の対応には被害者の人権保護が最重要であるにもかかわらず、財務省が被害者に自ら名乗り出るよう求めているのは、セクハラ被害の本質を全く理解していない対応であり、強く抗議するとともに撤回を求めます。さらに、麻生財務大臣が「名乗り出がなければセクハラの認定をしない」と表明しているのは、財務省によるセクハラ事実の隠ぺいと言わざるを得ません。次官を擁護してきた財務省の対応は許されるものではなく、麻生大臣の辞任は当然であるとともに、こうした対応を容認してきた安倍政権の責任が問われる問題です。
日本ではまだセクハラを許容する風潮が強く、被害者が泣き寝入りせざるを得ない実情がありますが、世界では “#Me Too”運動が各地に広がっています。「女性に対する暴力根絶」を掲げる日本政府はセクハラ一掃の先頭に立たなくてはならないにもかかわらず、今回の対応は、世界の流れから見ても政府の本来の立場から見ても異常なものであり、多くの女性・国民、野党はもちろん与党の中からも批判の声があがっています。
私たちは、すべての女性が安心して生活し働ける社会の実現のため、今回のセクハラ疑惑への政府・財務省の対応に強く抗議し、福田淳一事務次官の罷免、麻生財務大臣の辞任を強く求めます。
談話(2018年3月30日)
民法の一部を改正する法律案について結婚年齢の男女統一を歓迎し、法改正後の速やかな実施を求めます
日本婦人団体連合会
会長 柴田真佐子
結婚できる年齢(「婚姻適齢」)を、現行の「男性18歳、女性16歳」から「男女とも18歳」とする条項を含む民法改正案が3月13日に閣議決定され、国会に提出されました。結婚年齢の男女差別は、国連の人権理事会、自由権規約委員会、女性差別撤廃委員会から「差別的規定」として繰り返し解消を勧告されていたものです。婦団連は2004年以来毎年国会請願を行ってきている「民法・戸籍法の差別的規定の廃止・法改正」の一つである結婚年齢の統一の実現を歓迎し、今国会での法改正を強く求めます。
改正案では法の施行を原則として2022年4月からとしていますが、法務大臣の諮問機関である法制審議会が1996年に民法改正を答申してからすでに20年余りが経過しており、結婚年齢の統一は法案成立後直ちに実施すべきです。
さらに、「選択的夫婦別姓の導入」「女性の再婚禁止期間の廃止」「戸籍法に残された婚外子差別の廃止」についても、「民法・戸籍法の差別的規定廃止・法改正」として速やかに実施することが必要です。
なお、今回の改正案は「成年となる年齢及び女の婚姻適齢をそれぞれ18歳とする」というものですが、現状においては,民法の成人年齢の引き下げについては慎重であるべきです。
民法では、未成年者は無条件に契約を取り消すことができます。しかし、改正後は、高校生でも18歳になれば一人で高額な買い物やスマホ用ネットゲーム、各種ローン、サラ金などの契約をすることができ、「親の同意のない契約は原則として取り消せる」という規定は適用されなくなります。現在20歳を超えると急増する消費者被害が、18歳、19歳の層に拡大することは明らかです。アダルトビデオ出演なども含む悪質業者との契約に関しても、契約を無条件に取り消すことができなくなり、被害増加が十分に予想されます。離婚後の養育費支給を「子が成人に達するまで」としている場合には支給年数が減少し、その悪影響も懸念されます。
成人年齢引き下げについてはこの他にも様々な問題点が指摘されていますが、その検討や解決のための施策は十分ではありません。
成人年齢の引き下げについては、法案として切り離して審議することを求めます。
談話(2018年3月9日)
南北首脳会談開催合意を歓迎し、北朝鮮問題の対話による平和解決を求めます
2018年3月9日
日本婦人団体連合会(婦団連)
会長 柴田真佐子
今回、南北朝鮮の首脳会談の4月末開催等が合意されたことは、地域の緊張緩和に向けたきわめて重要な動きとして歓迎します。
北朝鮮側は朝鮮半島非核化の意思を明確にし、米国との対話を行う用意があると表明しています。私たちは、米国と北朝鮮との直接対話が、破滅をもたらす戦争を回避し、北朝鮮の核・ミサイル開発問題の平和的解決、朝鮮半島の非核化・恒久平和につながることを期待し、米国と北朝鮮の対話の開始を求めます。
米国のトランプ大統領を含む国際社会がこの動きを歓迎しているにもかかわらず、安倍政権が「対話のための対話は無意味」などと、依然として南北対話の進展を妨害する「圧力外交」の態度をとっているのは異常な対応と言わざるを得ません。
婦団連など100か国以上の女性団体が加盟する国際民主婦人連盟は、1945年の創立以来、女性の権利、子どもの幸せ、恒久平和を共通の目的として活動してきました。朝鮮戦争中には、17か国20人の女性による調査団を戦地に派遣して「国連軍」の名による米軍の戦争犯罪の悲惨な実態を調査・告発し、朝鮮戦争停戦のための国際世論形成に大きな役割を果たしました。婦団連は、国際民婦連がこうした歴史をもつ国際女性団体として今回の南北対話への動きを歓迎し、朝鮮半島の非核化・恒久平和の実現に貢献することを呼びかけてきました。「戦争は避けなければならない」と、対話による平和的問題解決を求める共感の声が寄せられています。
今回の南北合意を契機に、米国が北朝鮮との対話に踏み出すことを強く求めるとともに、日本政府に対しては、南北の融和と対話への妨害をやめて、北朝鮮問題の平和的解決の促進のために努力することを求めます。